韓国の高校教育制度
2019年11月10日前回からのつづきで、ソウルメイト日韓交流会についてを書くつもりではいますが、なかなか苦慮しています。必ず書きますので今しばらくお待ちください。
数日前から、仕事あり、調べものあり、行きたいところありで、いま韓国に来ています。
一般の観光客とは違い、意思疎通や交通手段で不便な思いをすることはないので、普段どおりに行動している中、日韓問題の影響がどの程度あるのかは多少、気にはしていましたが、今のところ全く感じません。
デモを見に行く前に、ソウル市庁前のソウル図書館に立ち寄り、とある書籍の韓国語版があるかの確認したく探していた時、日本から電話がかかってきたので、図書館の入り口付近で10分程、日本語で通話してましたが、何の違和感も感じませんでした。
「いま、韓国旅行は危ないですか?」と聞いてくる当校の(ソウルメイト韓国語学校)生徒さんが何人かいたそうですが、あらためてはっきり言えるのは、「日韓問題があるから危ないというのはないけれど、危ないかどうかは、旅行をする上ではどこに行くにしても同じ類のものだと思う」ということです。
知らない土地で、「ぼーっと歩いてたら危ない」という当たり前のことだと思います。
また、飛行機の中で読んだ韓国の新聞でも、着いてから見たテレビのニュース番組でも、日韓問題に端を発した日韓関係の悪化などの事柄について取り上げられることはあっても、日本のワイドショーのような取り扱い方は皆無です。
と言っても、そもそも韓国には日本のワイドショー的な番組がないので、編成自体が偏向的になりづらい(視聴率至上主義にならない)のだと思います。
ニュース番組では、韓国内の政治や社会問題に時間を割き報道しています。
日本のワイドショーで長期長時間に渡って扱われた「タマネギ男」は、韓国の法務部の元長官の曺国氏(チョ・グク氏)であり、自身のみならず妻にも疑惑が及びました。
韓国の法務部は、日本で言えば法務省、法務大臣にあたります。
あれ? そういえば、つい先日、河井克行法務大臣が辞任したばかりですが、ご自身のというよりは、妻の河井案里自民党参院議員に公職選挙法違反の疑惑が浮上し、突如、辞任しました。
これをもし、韓国のテレビ番組にそのまま当てはめて、「タマネギ男」騒動と同じく扱えるかを、韓国の友人知人、義母に聞いてみたところ、誰しもが「그런 거 관심이 없어」でした。
カンシミ オプソ、関心がない、興味がない、ということです。
当たり前と言えば当たり前の話です。
では、どのようなニュースが取り上げられているか、内政のことを多様に報じている中で2つだけ例を挙げますと、
・文大統領は、今日、与野党5名の代表と国政重要課題について会談
・自律形私立高校制度の廃止について
大統領については、時の権力がどこにあり、何をしているのかを報じる内容で、特に今回は与野党5党首との会談で、重要課題を話し合うというので大きく取り上げられて当たり前のことです。
例に挙げたもう一点は、「序列化されていると言われていた高等学校制度を、標準化、一般校化する」というもので、教育制度改革のようです。
2025年に制度の廃止が決定となり、一般校に転換されるとのことで弊害はないのか、現状はどうだったのかなどを、自律形私立高校で勤務する先生がテレビで問題点などを語っていました。
韓国の高校入試制度について少し触れておきますと、
元々は、日本と同じく高校入試があり、熾烈な競争があったのを、高等教育の平準化政策により高校入試を無くし、内申点と成績により、自宅から近い高校に振り分けられるようになった。
その後、自律形私立高校制度により外国語や科学等の特殊目的高校ができ、そこだけには高校入試がまた始まった。
だが、結局、「序列化」が進み、才能ある子だけを対象とした高校入試となっていること等々、様々な問題があると議論がなされてきたため、この度、文在寅政権下で制度の廃止が決まった。
結論としては、2025年に一斉廃止となり、再度、平準化がなされることが決まった。
このような概要になります。
大きくガラっと変わる教育改革のようですが、背景には何があるのか、探ってみたいところです。
日本でも、大学入試改革の中で、記述式試験や英語民間試験が大きな問題として取り扱われ、導入延期が決まったばかりです。
「こんな感じでやりますよー」という状態のまま、直前まで放置した結果、当事者の教師や学生から反対の声が大きくなり、無視できなくなったのもありますが、やはり行政に対して事細かに追及することなくしては、良いのか悪いのかわからないまま、制度設計がなされていくことになります。
日韓関係なく教育の問題は、これからの社会を考えるためにも、みんなが参画していかなければならない問題だと思います。
今の子供たちは、今の教育を受けて大人になり、社会を担うようになります。
最近、この歳になり、社会活動全般について興味を持つようになり、行動するようにもなりました。
そんな中でも、教育の問題には大変関心があり、ぜひ皆さんにも関心を持ってもらいたいと思います。
近年、教育と経済力とを関連付けた統計学が話題となっていますが、「子供に投資することへのリターンについて」は、未来の社会を考える上でとても重要なことだと思います。
数年前に拝読した本を一冊推薦をして、今回は終わりにしたいと思います。
ぜひご一読ください。
(ちなみにアフィリエイトとか宣伝とかではありませんのであしからず)
誤記訂正:2020年5月19日10:32AM