韓国料理の基礎にある「薬食同源｣（やくしょくどうげん）の考え

＜韓国人の肌はきれい＞女優さんやアイドル達を見て、そう感じる方は多いのではないでしょうか。化粧品やエステなど韓国は美容研究が盛んですし、世界ではＫ-Beautyというジャンルが浸透したりと「美容大国」のイメージもあります。そして美容と同じく、発酵食品のキムチや海の幸・山の幸を取り入れたバランスの良い韓国料理が、海外では健康食として広まりつつあるようです。美と健康は紙一重ともいいますよね。

「薬食同源｣とは？

韓国料理の基本となるのが「薬食同源｣（약식동원／ヤクシクドンウォン）の考え方です。自然から得られる食材は薬になり、バランスの良い組み合わせで食べることによって、健康へ導いていきます。自然の食材を積極的に取り入れることで、健康維持や治癒力を上げることができるという韓医学の思想。

また「五味五色」の考え方もあり、食材を「青・赤・黄・白・黒」の五色に分類し、「辛味・甘味・酸味･鹹味・苦味」の五味で味付けをするのが良いとされています。「五味五色」の料理を食べることによって、健康が維持されるのです。
※鹹味（かんみ）はしょっぱい味

これら「五味五色」が盛り込まれた代表的な料理といえば、김밥（キムパプ）や비빔밥（ビビンパプ）。きちんとバランスの取れた料理といえます。その他にも＜土地と食材は切り離せない＞＜その土地で採れた食材は、その土地の調理法で食べる＞という「身土不二」（신토불이／シントブリ）に基づくものなど、韓国料理には興味深い要素が詰まっています。

韓国料理がもたらす「食養生」

삼겹살（サムギョプサル）などの肉料理には、サンチュやエゴマの葉などたっぷりの野菜、コチュジャン、発酵食品のキムチも一緒にパクリと食べます。肉料理にも「五味五色」がバランス良く組み込まれていますね。また、朝鮮人参やナツメなどが入っている삼계탕（サムゲタン）や닭한마리（タッカンマリ）の薬膳スープは、日常的な「食養生」といえます。

体調が優れないときには「養生」が必要です。大きく分けると「休養生」「食養生」「心養生」の3つですが、そのうちの「食養生」は食事を通して体の健康を取り戻すことをいいます。韓国料理は「薬食同源」「五味五色」を基盤とした食事で、日常的にこれらを取り入れているといえます。

現代につながる「食」の考え

この「薬食同源」をより詳しく知りたいなら、韓国ドラマ「チャングムの誓い」をオススメします。宮廷料理人を目指すチャングムが医学を学び研究を重ねて、体の弱い王様を「食」を通して健康な体へと改善していく様子が描かれています。まさに「食養生」ですね。「チャングムの誓い」は料理対決や、宮廷時代ドラマならではの陰謀劇などもあって、見どころ満載のドラマ。一度見だすとその面白さにハマって止まりません☆

ちなみに医女チャングムは実在のモデルがいるといわれており、史実にも記録が残っている人物です。長い長い年月をかけて「食」は「薬」にもなるという考え方が、韓国に根付いたのですね。

こうした古来から培われてきた「薬食同源」は、近年のオーガニックブームにもつながっているかもしれません。韓国では少し高い値段を払ってでも、「子供には体に良いものを食べさせたい」と考える母親が増えてきているといわれています。実際、大型マートなどではオーガニック食品の取り扱いスペースが増えており、街を歩けば有機農栽培食材の専門店も多いです。

今回は韓国料理の基礎にある「薬食同源｣をご紹介しました。韓国へ旅行に行った際には、ぜひさまざまな種類の料理を食べてみてくださいね。

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